疫病の蔓延によりベトナムのアパレル産業は深刻な混乱に陥っており、世界のサプライチェーンの状況は懸念される。

世界的な感染拡大は猛烈に進み、昨年は優れた防疫活動の成果を上げたベトナムも今や持ちこたえられなくなっている。 7月以降、ベトナムでは新型コロナウイルス感染症の感染者数と死亡者数が爆発的に増加している。現在、ベトナムでは166,000件を超えるCOVID-19の感染例が確認されている。最も深刻な流行が起きているのはベトナム最大の都市ホーチミン市だ。

ベトナム商務省の最近の報道によると、ベトナムの「投資ニュース」は8月4日、ベトナム繊維アパレル協会のヴー・ドゥック・ザン会長が、新型コロナの深刻な影響により、ベトナムのアパレル産業は厳しい課題に直面していると語ったと報じた。

疫病の影響で、ほとんどの企業は「3オンサイト」（現地生産、現地飲食、現地宿泊）モデルを実施できなかった。ベトナムの主要衣料加工産業は大きな打撃を受けた。労働者の大半は疫病を避けるために故郷に戻り、多くの省や都市で衣料品の生産は停滞を余儀なくされた。

ベトナム繊維協会は、今後流行が制御され、各省や都市が再開したとしても、労働者の復職率は60～65％にとどまると予想されると述べた。サプライチェーンが崩壊し、ベトナムが安定した市場ではなくなると、顧客は注文を他国に移すことになり、繊維・アパレル産業の中長期的な発展に深刻な影響を及ぼすことになる。ベトナムの衣料品・繊維企業は、海外の顧客が注文を延期またはキャンセルし、他の国に重点を移すリスクに直面している。

デルタ変異ウイルスが猛威を振るい、東南アジア諸国に深刻な脅威をもたらしている。インドネシアやマレーシアなど東南アジア７カ国の工業生産が昨年５月以来、最大の落ち込みを記録したとみられる。

東南アジア諸国も感染拡大の影響を受けており、トヨタやナイキなど世界的ブランドは封鎖措置によりベトナムの生産拠点の閉鎖を余儀なくされている。生産の停滞は世界のアパレル業界に連鎖反応を引き起こすことになるだろう。

米メディアは最近、 「この流行により南アジアと東南アジアの工場が閉鎖され、世界的なサプライチェーンの混乱のリスクが高まっており、米国の消費者はまもなく地元の棚が空になっていることに気づくかもしれない」と報じた。米国国勢調査局のデータによると、米国の小売業者は1か月以上の売り上げをカバーするのに十分な在庫を保有しており、これは1992年以来の最低水準に近い。

ベトナムでの流行により、大規模な衣料品生産の注文が国内に戻ってくる可能性はあるが、世界の衣料品サプライチェーンは間違いなく継続的に影響を受けるだろう。

ベトナムの疫病

ベトナムの衣料産業